塩の表情を注意深く見守りながら薪をくべ、全身を使って大きな釜をかき混ぜる。この想像以上の重労働を担当するのは女性の常俊さん。小さな体できびきびと動き、自身の体重と変わらない重さの薪でも軽々と持ち上げて火元に放り込みます。約2週間かけて出来上がる塩は一つの釜から約100kg。決して効率のよい仕事ではありませんが、「自然に逆らわずに作った塩は、体によくておいしい」という信念を貫く小谷内(こやち)社長の下、「もっともっといい商品を作って一人でも多くの人に喜んでもらいたい。塩作りはとにかく楽しい」と目を輝かせます。珠洲の塩は、自然の恵みと人の手のコラボレーションから生まれます。